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8月相談会のご報告(第10回)

第10回女性による女性のための相談会のご報告

女性による女性のための相談会実行委員会

 8月3日(日)に、家庭、職場などで生活に困りごとを抱える女性たちが、悩みを心置きなく相談できる「女性による女性のための相談会」を開催いたしました。昨年4月に「困難な問題を抱える女性支援法」が施行され、法律は女性を支援するために行政と民間団体が協力すると定められています。今回は東京都と板橋区が後援となり、行政と連携して相談会を実施しました。

 

 私たちは2021年3月、コロナ禍が低賃金と不安定雇用で働く女性の生活を直撃していることに胸を痛め、女性が抱える困りごとに対応する女性の相談会を始めました。相談会は今回で10回目となります。相談会のつど、多くの女性たちが来場し、「親身に話を聞いてもらえて生きる勇気になった」、「一緒に考えてくれて助かった」、「もう少しがんばってみようと思った」 などの感想が寄せられています。

 

 相談会にはこれまで延べ1000人の方が訪れました。相談者の年齢は10代から80代と幅広く、とくに40代から60代の中高年層が中心です。そのうち過去に一度でも来たことのある再来場者が3割です。当相談会は、仕事や生活を奪われ、家庭や職場や社会において孤立している女性たちの居場所になってきました。労働問題や家庭内不和を抱えながら、誰にも相談できないでいる女性たちに、このような相談会の場が必要なのです。

 

 今回の相談会は、労働組合、市民団体、弁護士など、女性有志およそ50人が参加する当実行委員会が主催し、労働、生活、DV/性暴力、家庭/家族、心とからだの健康、妊娠・出産・子育てなどの相談を受けました。また、食料品や衛生用品、下着類などの生活必需品の配布をしました。

 

 ひとりの相談者が抱える問題は複雑で、多岐に渡っています。病気や障害で働けない状況にあっても、福祉制度につながらず、行政に把握されていない現状があります。さまざまな問題をひとりで抱え込み、誰かに相談することも難しい方が多くいます。社会で可視化されていない弱い立場にある人が、追い込まれ、切り捨てられている実態が浮き彫りになりました。

開催状況

日時 2025年8月3日(日)11:00~19:00(最終受付18:30)

場所 板橋区立グリーンホール 6F (東京都板橋区栄町36-1)

主催 女性による女性のための相談会実行委員会

後援 東京都/板橋区/第二東京弁護士会/日本労働弁護団/日本労働弁護団女性労働プロジェクトチーム

相談件数など

相談件数 118件

託児 23件

スタッフ51人、ボランティア32人 合計83人

概要

 相談者は40、50代が多く、80代までの幅広い年齢層の女性が訪れました。構造的差別などに起因する女性特有のさまざまな相談が寄せられました。相談者の多くは生活費が足りておらず、食料品や下着、生理用品などの生活必需品の支援を必要としている声が聞かれました。相談内容は、生活費が足りず困窮している、身体の不調もありなかなか仕事が見つけられない、職場のハラスメント、不当解雇、雇い止め、労災などの労働問題、離婚後の養育費や慰謝料の不払い、離婚調停がうまく進まない、DVやその被害に伴うフラッシュバック、子どもへの影響など、多岐に渡りました。

個別ケース

生活不安

・60代 介護の仕事がハードで、体重が減って精神的な疾患を抱えた。休職すると収入が減ってしまうのが心配。病気の家族を養えなくなるのではないかと不安だ。

 

・60代 離婚が成立して仕事を得たが、住居が安定せず、持病を抱え、体調も良くないので、今後の生活が不安だ。

 

・70代 数年前にパーキンソン病となり、同居の家族も病気。年金暮らしでこの先が不安。

 

・50代 アパートを引っ越ししたいが、生活保護のため、なかなかできない。

 

・60代 持病があってほとんど働けず、貯金を切り崩して生活している。数年後の年金受給開始まで持つかどうかわからない。

 

・30代 生活費が足りず、仕事がない。仕事の情報が欲しい。職場でいじめに遭っている。

 

・50代 遠方の高齢の母が一人で暮らしており心配。近くで介護をしている家族との関係が悪くなった。

DV・離婚

・40代 夫のDVがつらくて離婚をしたい。昨年から離婚調停中だが、なかなか進まず不安だ。

 

・50代 過去に夫から受けたDVのフラッシュバックがあってつらい。それが子どもに影響していないか不安だ。

 

・50代 高収入の夫からもらう生活費が少なくてやりくりできない。離婚したい。

 

・50代 元夫からの養育費や学費負担の金額で揉めている。夫の経済状態が悪く、減額を求められている。

労働

・50代 職場でケガをして労災申請をしようと思っているが、うまくいかない。弁護士を探したいが、お金がない。

 

・60代 偽装請負の疑いがある会社で働いていて、職場でさまざまな叱責を受けている。

 

・50代 職場の上司の不正が、自分の責任になって雇い止めになった。

 

・50代 障がいがあり、職場で同僚から無視されたり悪口を言われたりして、いじめられている。

 

・50代 離婚後の夫からの慰謝料が滞納されている。働き出したが、職場でハラスメントを受けている。

社会不安

・40代 排外主義の政党と議員が増えて不安だ。