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12月相談会のご報告(第8回)

第8回女性による女性のための相談会の報告

女性による女性のための相談会実行委員会

 日本が批准する女性差別撤廃条約の国内での実施状況を審査する国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)が10月、日本政府に対して、60項目にわたる勧告を出しました。勧告では、家父長制の問題性、男女の賃金差別、司法へのアクセスの困難、性暴力の法的な定義に問題があること、複合的差別、職場の管理職に占める女性の割合の低さなど、ありとあらゆる差別的構造が存在することを是正するよう指摘しています。勧告は多岐にわたる構造的差別が今も日本社会に横たわっていることを示しています。その勧告に対し、日本政府や社会が真剣に向き合って改善していないことにより生み出されているさまざまな困難が、当相談会に訪れた相談者から語られました。これらは60の勧告が是正されることにより、解決される課題がほとんどです。

 

 ひとりの相談者が抱える問題は複雑で多岐に渡っています。病気や障害で働けない状況にあても福祉制度を適応されず、病気や障害を負った原因について対応されていない現状があります。さまざまな問題がひとりに蓄積されており、福祉につながる相談自体をすることも難しい状況にあります。社会で可視化されていない弱い立場にある人がさらに追い込まれ、切り捨てられている実情が浮き彫りになっています。

 

 困難な状況にがんじがらめになっている解決のためには、対処療法的な解決は簡単ではなく、定期的に相談できる伴奏者、チームカウンセリングなどが早急に必要です。配偶者からの身体的、経済的ドメスティックバイオレンス(DV)、不当な解雇、家族(主に配偶者)や会社などが抱える問題の多くが、女性自身に降りかかっていることがわかりました。問題を抱えている側が解決しないため、女性たちがそれを引き受けざるを得ず、背負わされている状態にあります。その女性たちには周辺に信頼できる人がなかなかおらず、孤立を深めています。

 

 「女性による女性のための相談会」では、労働、生活、家庭/家族、心と体の健康、妊娠・出産などの相談を受けるだけでなく、カフェコーナーで語り合ったり、野菜や果物などの食糧や生活必需品も用意しています。相談会に足を運ぶ女性の多くが「孤独」を感じており、こうした一時的な支援と合わせて継続的に悩みを相談できる相手や居場所を必要としています。

概要

日時 2024年12月22日(日)11:00~19:00(最終受付18:30)

場所 東京セミナー学院(豊島区西池袋)

主催 女性による女性のための相談会実行委員会

後援 東京都/豊島区/第二東京弁護士会/日本労働弁護団/日本労働弁護団女性労働プロジェクトチーム

相談件数など

相談件数 90件

キッズルーム利用 5件

実行委員会スタッフと当日ボランティア 計69人

相談事例

・40代 障害年金と失業保険をもらっているが、前年度がフルタイムで、社会保障料が高くて賄えない。請求される医療保険代を支払っているが、診療費が高くて払えず、持病の医療機関にかかれない事態に陥っている。就労者支援で働き始めたが、仕事がきつい。都営住宅が抽選にあたらず入居できない。

 

・30代 シングルマザーで、子どもが複数人いて子ども手当をもらっている。働き出して手取りが20万円を超すと手当がどうなるかわからず、減らされると生活が成り立たないので不安だ。

 

・40代 元彼からDVを受けて、家族が死亡し、一人きりになった。複数の持病があるので、将来の生活が不安だ。

 

・50代 配偶者から経済的DVの加害を受けて、精神疾患。離婚したいが、自立かどうか不安だ。

 

・50代 「辛いので話を聞いてほしい」。他の人に話をすることで心が晴れた。

 

・40代 夫が仕事も育児をしない。子どもが複数いて、別れを切り出したら、脅されている。相談を受けてドメスティックバイオレンスを受けている自覚を持った。

 

・60代 持病がある。すぐに落ち込んで何もできなくなり、家事ができずに困っている。生活保護の適用を受けていて、老朽化した賃貸物件に住んでいるが、壊れた水回りについて家主が対応しない。相談会に参加して、心を保っている。

 

・40代 障害年金をもらい、就労型の施設で働いていたが、コロナの後遺症で働けなくなり、復帰したら施設の状況も変わっていて辞めた。そこでの収入がなくなり、障害年金だけの生活だが、年金の更新についても不安に感じている。

 

・50代 所持金が少なく、病院に行けない。体調が悪いが、保険証が有効ではないので、病院に行けない。

 

・20代 親からDVを受けていて、遠方の郷里から出てきてフリーランスで働いていたが、体調を崩して働けなくなった。保障が何もないので、家賃が払えずに困っている。

 

・30代 離婚後に会社の上司や同僚から今後の結婚について聞かれる。そのことを話題にされて苦痛だ。ハラスメントだと感じ、子どもを持ちたいのか、結婚したいのかわからない。

 

・50代 気持ちが塞ぐことが多いので、新聞に「ホッとする場所」と書いてあり、来場した。

 

・50代 夫が生活費を入れているかどうかわからない。午前4時起きて、弁当を作り、家事をやって、フルタイムで生活してきた。ずっと家から出たいと思っている。

 

・30代 生活保護を利用しているが、引きこもりがちで情報が得られない。役所に相談したが、相手との相性が悪く、人間恐怖症になった。

相談者から寄せられたコメント

・この相談会があって今の自分がいる。

・ここにきて人として扱ってもらえた。嬉しかった。そのように扱ってもらえるだけで元気が出るものなんですね。

・カフェでお腹いっぱい食べられた。

・話を聞いてもらってよかった。