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7月相談会のご報告(第7回)

第7回女性による女性のための相談会の報告

女性による女性のための相談会実行委員会

 物価上昇によって、食料品をはじめとして生活必需品の値上げが止まりません。食品値上げが加速するともに、円安が進んで輸入コスト上昇に伴う値上げが再び増えています。年内の食品値上げが最大で1万5000品目ほどに上ると見込まれていますが、非正規の賃金は相変わらず低いままです。相対的貧困がじわじわと広がり、絶対的貧困の増大に繋がりかねません。

 

 新型コロナウイルス感染拡大防止のために事業所が営業自粛や閉鎖に追い込まれましたが、コロナ感染拡大が治った後も女性たちは仕事も生活も追われ、孤立が深刻化しています。しかし、生活まわりの困りごとや、自分の悩みや不安があっても家族のことを優先させる女性は、自分のことを後回しにせざるを得ません。また家父長制の下、世帯を中心とした福祉制度を作り上げてきた日本において、高齢の独身女性のフォローが不足しています。

 

 「女性による女性のための相談会」では、相談(労働、生活、家庭/家族、心と体の健康、妊娠・出産など)を受け付けるだけでなく、カフェコーナーで語り合ったり、野菜や果物などの食糧や下着類、生理用品を含む生活必需品も配布したりしています。しか

し、相談会に足を運ぶ女性の多くが「孤独」を感じており、こうした一時的な支援と合わせて継続的に悩みを相談できる相手や居場所を必要としています。

 

概要

日時 2024年7月28日(日)11:00~19:00(最終受付18:30)

場所  IKE・ Bizとしま産業振興プラザ6階多目的ホール(豊島区西池袋)

主催 女性による女性のための相談会実行委員会

後援 東京都/豊島区/第二東京弁護士会/日本労働弁護団/日本労働弁護団女性労働プロジェクトチーム

相談件数など

相談件数 83件

キッズルーム利用 7件

実行委員会スタッフと当日ボランティア 計68人

相談から見えてきたこと

 円安・物価高だが、賃金が上がらず、非正規の低収入、生活保護の枠内で、生活することが厳しくなっている相談が多い。元々女性が潜在的に抱えている「生きづらさ」に起因する相談が多い。ドメスティックバイオレンス(DV)や失業など、一人の女性が複数の問題を抱えている事例が目立つ。

 

 生活に困っているが、何らかの支援につながっている人はいる。しかし、家庭、仕事、家族関係で悩みを抱え、過去に性暴力・暴力、いじめを受けている相談者が目立つ。親からの性的虐待を受けても、十分な公的・福祉的ケアを受けることがなく月日が経てしまい、解決されないまま、精神的疾患などを抱えて、困難さを抱えて困窮しているケースが多い。

 

 子どもと親が相互に心配したり、離婚や暴力で家族関係を崩したりいる相談もあった。精神的な問題を抱え、そこへの十分な福祉的フォローがないため、困窮に陥っている。自力では福祉的対応に繋がらない、医療的ケアに繋がりにくい状況にある人の相談も目立った。

 

 潜在的に、過去から続いてきた女性が抱えている困難が語られる場がなかった、聞いてくれる人もなかった。女性は夫や父親など周囲の男性に囲まれ、自分の抱えている問題を問題として見ずに、他人の問題解決が優先されてきたから。この相談会ではその必要性がないから境遇や思いを自由に話すことができる。受け止める姿勢と環境、雰囲気、人が、困難を抱える女性の自立とその支援には大事なことだ。

 

 回を重ねることで、自分の悩みについて整理がついて、言語化できている人が以前より目立った。受けてきた積年の苦しみが、配偶者からの不条理な女性差別だったり、我慢してきた侮蔑的行為がドメスティックバイオレンス(DV)だったということに気づいたり、構造的差別から困難に陥っている状況を自覚している人が出てきている。

 

 相談者同士がカフェなどで交流する姿も見られた。女性があるが故に同様の困難を経験共有できるので、共感できて励まし合うことができる。

相談事例

・30代 子どもの高価な遊び道具を持ってくるように言われているので困っている

 

・40代 生活費が大変、配偶者と別居し、子どもが3人いて食費が大変、離婚が進展しない。

 

・60代 家族が借金を抱え、持病がある。貯金が底をついている。家族の借金請求が自分に来ている。生活保護を受けたい。

 

・40代 食糧支援の場所を知りたい、居場所を知りたい。1カ月 13 万円で生活費が足りない。職場でハラスメントにあった。ハラスメント相談できず自己都合退職している。持病で仕事ができていない。

 

・30代 ダブルワークで 15 万円で家賃9万円。アルバイトで収入が少なく、光熱費を払うと食費に回らない。体重が激減している。非正規でずっと来ているから安定した雇用につながらない。非正規続きの履歴で正規で働けない。

 

・20代 正社員に就きたいので、探し方を教えて欲しい。学校を卒業後、不調で家にいて、バイトをしたが、体がきつい。

 

・50代 DV を受けて離婚裁判中。親の介護をしているが、生活の見通しが立たない。子どもも持病がある。

 

・50代 性被害があり男性恐怖症。自信を持つにはどうすればいいのか。医療機関受診の負担が大きい。安心して話したい。

 

・30代 一人暮らしで心細い。話がしたい。男性から声をかけられることが嫌だ。生活保護を利用しているが、公共料金、食費だけで生活がギリギリ。今日はおしゃべりしてゆっくりしていきたい。

 

・40代 正規の仕事に就くのにハードルが高すぎる。保証人がなく、非正規労働にしかつけない。ケアの仕事をしているが、行政や介護ヘルパー事業者から見放された利用者が回ってくる。精神的に辛い。

 

・40代 以前の相談会で、労働問題で励まされた。今日は子どもについて相談にきた。子どもへの対応のアドバイスを欲しい。

 

・70代 DV を受けて、10 年前から別居しているが、夫が拒んでいて離婚ができない。

 

・30代 中学生時代までいじめに遭い、それが原因で不登校になった。親が死去して、働かざるを得ない。人生プランとフルタイムの仕事を考えていて、相談したい。

 

・50代 ヤングケアラーで親から虐待をされていた。障害者年金をもらいたい。

 

・80代 何より、ひととき心を休めたい。結婚当初より夫の DV に悩んでいるが、社会的背景もあり、ずっと我慢するしかなかった。夫が病気でずっと家にいるようになったが、家族に男としての優位性を求め、女性差別が止まない。とても辛い。世話をしてくれる子どもにも暴言を吐く自分が嫌になる。離婚したいが、金銭と体力の問題があるが無理だと思っている。気分転換したい。

 

スタッフからの報告

・以前に比べて化粧しない人が多かった。

・ゆっくり過ごしている相談者が多い。

・カフェでおかわりされる方が多かった。リラックスして過ごしていただいた。

・チラシを見て参加された相談者が多かった。

・下着、ブラトップが人気。「助かる」「これは嬉しい」「買えないから」と好評だった。おりものシートセットも喜ばれた。家族の分ももらっていく人がいた。

・あんみつや冷やしうどんを食べていただいて、ホッとしていただいた。女性は、普段ゆっくり食べられない状況にあるのではないかと思う。

・子どもの発育など、生活や貧困のみならず、幅広い相談が寄せられた。