· 

7月相談会のご報告

「女性のための生活、仕事、子育て、なんでも相談会」相談結果報告

第二東京弁護士会

 新型コロナウイルスの感染が拡大し緊急事態宣言が繰り返し発令される中で、女性の生活困窮が深刻化しています。第二東京弁護士会では2021年7月10日と11日、こうした女性たちが抱える問題に対応するため「女性のための生活、仕事、子育て、なんでも相談会」をパズル浅草橋(台東区浅草橋5−3−2)において実施しました。

 

 相談会は、法律だけでなく、労働や生活、家族/家庭、子育ての悩みや問題などについて、第二東京弁護士会の女性弁護士30名と「女性による女性のための相談会」実行委員会の専門相談員、看護師、保育士、臨床心理士らが連携して対応しました。カフェスタイルでリラックスした雰囲気の中で行われ、女性が抱える問題の複合性が明らかになりました。

 

 2日間で寄せられた相談は100件以上。もっとも多かったのは、仕事を失ったりシフトを減らされたり、有期契約を無期転換する直前に雇い止めされたりするなどコロナの影響による労働問題でした。次いで家庭不和が多く、身体的暴力でないためにDVであるという自覚が本人に薄く、離婚にまでおよばない案件も複数見られました。中には、特段相談はないけれど女性だけの空間に浸り、安心感を得ているという人もいました。

 

 3月に実施された新宿区大久保公園での「女性による女性のための相談会」でアドバイスをもらって実行し、さらに新しく浮上した問題について相談したいという女性も複数人来場しました。話を聞いてもらったことで「もう少しがんばってみる」「前向きになれた」などと精神的な回復を打ち明ける人や、自分も相談に乗ってもらって助かったので、できる範囲で今後関わっていきたいと申し出る人もいました。

 

 希望する相談員はどんな人かを聞いたところ、「怒らない人」「否定しない人」「怖くない人」「やさしい人」という回答が多く、寄り添うことを徹底した今回の相談会については満足感が高かったと言えます。これまでDVやその他の暴力被害にあった(あっている)ことから、女性たちが家庭や社会で孤立し、相談できる場を多く持たないということが垣間見えました。

 

 なお、2日間で受けた相談件数は、123件でした。

概要

日時 2021年7月10日(土)11:00~18:00(最終受付17:30)

   7月11日(日)11:00~17:30(最終受付17:00)

場所 パズル浅草橋(東京都台東区浅草橋5-3-2)

主催 第二東京弁護士会

共催 女性による女性のための相談会実行委員会

後援 東京都

相談件数など

相談件数 7月10日55件、11日68件 計123件

支援にあたった弁護士とその他相談員 のべ70人

相談事例

・年齢不詳 2021年4月、雇止め。労働組合に加入して団交した。ずっと1年契約で働いてきて無期転換を目指したが、その前に雇止めの通告を受けた。裁判をやって和解。現在、職を探しているが見つからない。

 

・年齢不詳 実家に住んでいるが、コロナ禍のため仕事が激減した。勤務シフトが確定してないと休業補償してもらえない。派遣労働でダブルワークをしている。フルタイム並みの仕事量。正社員になりたいが、派遣を続けるか悩んでいる。転居・転職も考えていたが、コロナのせいで仕事が激減して不安定になってしまい、どこから手を付けていいのか分からなくなって相談に来た。利用できそうな制度やセーフティネットがあれば教えて欲しい。

 

・40代 昨年からのコロナ禍の影響で収入が年収で150万円も減った(月5万円の減少、賞与も減少)。緊急小口資金の請求をしたい。

 

・30代 父親からの性的虐待があり、実家から逃げて、生活保護を受けている。週3日バイトしているが、精神的不安で病院やカウンセリングに通っていて、カウンセリング代がかかるので(月2万円)、アルバイトを探している。差別のない職場で働きたい。

 

・30代 医療事務の派遣労働。(派遣だけだと大変だから)副業を探している。どうやればできるか。相談員から、派遣社員でダブルワークしている人の状況を紹介してもらう。

 

・20代 障害者。障害者施設グループホームにいたが、トラブルがあって施設を出た。カードの借金が増えて、今年自己破産。実家にも帰れず、生活保護の申請をしたい。区議会議員と生活保護申請の予定。

 

・50代 コロナの影響で夫が在宅勤務となり、家にいる時間が増えて、夫と同居していることに耐えられなくなった。子ども(10代)が成人したら離婚したい。DVはないが、夫との会話がなく、全く家事をしてくれない。

 

・40代 3月の相談会にも参加した。子どもに対する夫の暴力が悪化。学費を払わないと公言。昨年、病気で失業して以来、夫の精神が不安定で悪化した。夫と別れて子どもたちと一緒に暮らしたいが、方法が分からないので相談。

 

・年齢不詳 緊急事態宣言のため、働いていた店舗の経営が厳しくなり閉店。今年失業した。退職理由を自己都合退職にされたので、失業保険が直ぐにもらえない。幼い子どもと生活が不安である。

 

・30代 精神疾患で障害者手帳を所持している。生活保護を受けているが、働いて自立したいので障害者雇用で求職している。生活保護よりも最低賃金の方が生活できないのが問題だと思う。

相談者の声

・3月の相談会でアドバイスを受けてアドバイスに沿って行動した。そのあと新たに相談することがあり、今回も訪れた。

 

・コロナによる雇い止め

 

・ホームレス状態から生活保護申請をしたが、一人で役所に行くとケースワーカーが怖いから同行してほしい。

 

・結婚していた時の年金がそのままだったので、手続きが必要。法律相談がしたい。

 

・過去の性被害で治療が必要。治療法について知りたい。

 

・バリアフリー物件をさがしている。不動産屋が会場にいて助かった。

 

・他の相談会にも行ったが、自分の要求には応えてもらえなかった。この相談会には多様な専門相談員がいるから解決法が見つかってよかった。

 

・養育費調停のことを詳しく相談できた。他の無料相談では調停中の案件には対応できないと言われたので助かった。

 

・奨学金について知ることができて助かった。

 

・(別居ひとり親)児童扶養手当は夫に行ってしまう。どこにも頼れるところがない。社会に居場所を感じられない。問題をひとりで背負いきれない。

 

・必要な手助けがあってよかった。

 

・こういう相談会を継続的に開催してもらえると嬉しい。

 

・夫とは別居。赤ちゃんと二人で暮らすことになったが、夫は子どもに会ってくれない。相談会では、保育士さんがお世話をしてくれたり、みんなに子どもを可愛がってもらって嬉しい。

 

・四面楚歌から救われた、本当に助かった。

 

・3月相談会のときは、精神的に追い詰められていたので花を持ち帰れなかった。今日は持って帰ることができる。

 

・法テラスでは弁護士を選べない。女性弁護士、性暴力の被害者に寄り添ってくれる弁護士をお願いしたいが、それができない。インターネットで調べても、だれが適切かわからない。

 

・自分の問題を認識することに慣れていない。自分が辛いことは、他人に言われてはじめて気づくことができる。

 

・ひとりで悩んでいる。他に相談できる人がいない。

 

・話を聞いてもらうだけで安心できる。前向きになれる。

 

・花を買いたかったけれど、その心の余裕もなかった。