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相談会のご報告

女性による女性のための相談会の報告

女性による女性のための相談会実行委員会

 新型コロナウイルス感染拡大防止のために、事業所が営業自粛や閉鎖に追い込まれる中で、生活困窮する女性が増えています。2020年末から21年の年始にかけて都内各所では相談会が実施されました。そのうち新宿・大久保公園の「年越し支援・コロナ被害相談村」には、344人が相談に訪れましたが、女性はおよそ2割でした。2008年末、リーマンショック後に行われた年越し派遣村では505人の相談者のうち、女性はわずか5人だったことと比較すると、女性の生活困窮者は明らかに急増しています。

 

 コロナ被害相談村に訪れた女性からは、「セーターが1枚ほしかったが、男性の支援員には言い出せなかった」、「女性の法律家に相談したい」など、女性ならではのニーズが寄せられました。男性には相談しにくい生活まわりの困りごとや、自分の悩みや不安があっても、女性は家族のことを優先させ、自分のことを後回しにせざるを得ません。

 

 そんな現状を受けて、コロナ被害相談村に参加した支援者の女性たちから、「女性による、女性のための支援体制を作る必要がある」という声が集まりました。今年1月、労働組合、市民団体、日本労働弁護団などの女性有志約60人が集まり相談会を企画、3月13日と14日に相談会を実施しました。

概要

日時 2021年3月13日(土)、14日(日)10:00~17:00(最終受付16:30)

場所 新宿区立大久保公園(新宿区歌舞伎町)

主催 女性による女性のための相談会実行委員会

後援 日本労働弁護団/日本労働弁護団女性労働プロジェクトチーム

相談件数など

相談件数 3月13日23人、14日102人 計125件

支援にあたった実行委員とボランティア 3月13日80人、14日140人 のべ220人

相談事例

・30代 仕事がない。所持金数千円、ネットを見て今日きた。昨夏に派遣契約終了。数年働いた職場だったのでショックで体調不良に。自治体の支援を今後使う予定。

 

・生活保護利用。福祉事務所の対応に不満、同行してほしい。

 

・3か月更新の派遣。6月で終わり、先の見通しがない。住まいの維持に不安を抱えている。心と体の健康面でも不安。

 

・今ネットカフェ住まい。住まいを見つけたい。仕事はバイトをしている。生活保護申請をして安心したい。体調を崩しているので 治療を再開したい。

 

・外国で働いてきて失業した。外国での失業なので給付金対象にならないといわれた。

 

・単身高齢女性。「お茶を飲みに来た」と言ってカフェに来場。「明日も来る」と言った。生活物資が足りていないようでいくつか物資を持ち帰った。

 

・70代 家族からの暴力で家を出て、友人宅にいる。住むところを探しているが、保証人がいない。緊急連絡先が身内でないとダメという条件がある。その2点の条件がネックとなり、住むところが見つからない。

 

・30代 シングルマザー。昨秋にコロナの影響により会社都合で退職させられた。失業給付がそろそろ切れる。子どもがいるが、食費や制服にお金がかかる。公的制度や支援団体の情報を求めて来た。→住居確保給付、緊急小口資金の制度を紹介、支援団体も教えた。緊急小口資金は借金をすることになるので、返せないから使えないと思っていたが、住民税非課税世帯は返済免除などがあることを知り、自治体の窓口に行くことになった。

 

・30代 家族からの暴力で、シェルターに住んでいる。心療内科に通っているが、病院が遠いので、病院の近くで生活保護を受けたい。一人で行くとたらい回しをされるので、法テラスの案内をした。生活保護申請のため地元窓口へ行ったが、あちこち複数の部署をたらい回しされ、申請できなかった。

 

・80代、70代の親と一緒に暮らしている。親は手が動かなくて家事ができない。1年半前に介護サービスを申請したが認められなかった。→自治体の介護予防サービスもあるから、コロナで状況が変わっているので、公的サービスについて役所に相談してみてほしい。

 

・50代 夫の暴力で離婚したい。いつ離婚をしたらいいか。母親に相談したら、あなたが我慢した方がいいと言われ、20年以上我慢してきた。→離婚の具体的な法的な手続きについて、案内した。

 

・40代 親と連絡つかず。どうしたらいいか。暴力的な兄が母を囲っていて、自分が行って確認できない。→住所地の警察に連絡して確認してもらえることを案内した。

 

・40代 仕事探しをしているが全て落とされた。これまでの経験に対して、価値がないと言われているようで、死んだ方がいいと思っている。

 

・夫と別居したいが離婚を同意しない。→婚姻費用を夫からもらう必要があるので法的な手続きについて案内。

 

・電話を持っていない。ネットカフェで寝泊まりしている。家族内のトラブルで、家を出された。ホテル、ネットカフェ、野宿を転々としている。複数の自治体で、生活保護を受けたこともある。公的な施設にいたが、ネットカフェ暮らしを最近スタートした。生活保護を受けてアパート暮らしをしたい。

 

・30代 細切れで派遣労働をしてきた。イベント系の仕事などをしてきた。以前は1、2年の長期の仕事があったが、コロナで仕事がない。母からの虐待があり家を飛び出した。大学行かせてもらえず、高校時代からバイトをして、家にお金を入れていた。自分のために使えるお金がなく、ちゃんとした仕事に就けない。時給のいい仕事に就きたいがそれもなく、収入が途絶えて家賃も払えない。所持金1万数千円。

 

・(別居ひとり親)児童扶養手当は夫に行ってしまう。どこにも頼れるところがない。社会に居場所を感じられない。問題をひとりで背負いきれない。

 

・親からの虐待があり、家族扶養で照会されるのが怖い。不眠症。性被害にあうことが多く、男性が多いところは恐い。短期の仕事は男性が上司になること多くて、仕事がしづらくて困っている。生活保護を受けられたら、行けなかった歯の治療や医療機関などを受けるつもり。

 

・50代 DV被害あり。手に職あるが雇ってもらえない。周りから孤立させられていた。身の上を話す人いない。単発の仕事しかなく、内職、掃除、工場、物流の仕分け、ホテルやクルーズ船など。住宅費を今はおさえようとしている。→「こんなに優しくされたことない」と相談してリラックスしていた。

相談者の声

・職場でセクハラ被害を受けて違和感を抱いていたが、相談会の支援員から「あなたが悪いのではない」と言ってもらえて、納得し自信を得られた。

 

・労働相談で、「仕事が見つからないのは、選り好みしているからだ」と自分を責めていた。しかし、相談のなかで、時間外に本来の業務ではない雑用をしたり、極端な低賃金だったりと、劣悪な労働条件だったことがわかり、相談員から「労働力を安売りすることになるので、その仕事を選ばなかったあなたの判断が正しい」とアドバイスされた。女性だからといって低賃金の仕事を選ばなくていいのだと明るい気持ちになった。