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7月相談会のご報告(第5回)

第5回女性による女性のための相談会の報告

女性による女性のための相談会実行委員会

 7月1日と2日、コロナ禍で生活困窮する女性たちが悩みを心置きなく相談できる「女性による女性のための相談会」を実施しました。「困難な問題を抱える女性支援法」が5月に成立して以降、初めて行政と連携の上で実施した相談会です。新法では、女性を支援するために行政と民間団体が協力すると定められています。

 これまでに2021年3月、7月、12月、2022年1月と2日間ずつ開催しましたが、そのつど多くの女性たちが来場し、「親身に話を聞いてもらえて生きる勇気になった」「一緒に考えてくれて助かった」「どん底から這い上がろうと思えるようになった」などの感想が寄せられています。

 女性はこれまでも、労働問題や家庭内不和を抱えていても、そうした悩みや苦しみを安心して相談できる場が限られていました。そもそも悩みを抱えていても女性は家族のことを優先させなければならず、自分のことについては後回しにせざるを得ません。2回目以降は、相談者の半数以上が「再来場」であることから、そのニーズに応えた当相談会が「困難を抱える女性たちの居場所」になっていることがわかります。

 当相談会は、労働組合、市民団体、弁護士会など女性有志約70人による実行委員会が主催しているものです。本日は相談(労働、生活、DV/性暴力、家庭/家族、心と体の健康、妊娠・出産など)を受け付けるだけでなく、米、野菜、果物などの食べものや生理用品を含む女性向けの生活必需品を配布しました。

概要

日時 2022年7月1日(土)2日(日)11:00~19:00(最終受付18:30)

場所 文京区民センター 2A会議室(文京区本郷)

主催 女性による女性のための相談会実行委員会

後援 文京区/第二東京弁護士会/日本労働弁護団/日本労働弁護団女性労働プロジェクトチーム/文京区助産師会

相談件数など

相談件数 7月1日49件、2日47件、計96件

キッズルーム利用 7月1日2件、2日4件、計6件

実行委員会スタッフと当日ボランティア のべ200人

全体の傾向

 2日間を通して、「家族に関する相談」(離婚/別居、DV、子ども、ヤングケアラー、家族/家庭)が多くあった。当相談会の特徴として、じっくり相談者の話を聞くようにしており、相談者からは「話を聞いてもらえてよかった」という感想が寄せられており、スタッフとの会話のなかから相談者が「問題解決への糸口を見出し、生きる勇気を持ち帰ってもらえていると実感する。相談会が「自分を振り返る場」「エンパワーメントの場」として利用してもらっている面もある。

 

 1日目は平日開催ということもあり、夫が仕事に行っている間、あるいは子どもが登校している時間を利用して来たとみられる相談者が多かったようだが、週末の2日目でも、相談の傾向は1日目と変わらず、「家族に関する相談」が多い傾向にあった。

 

 夫からの経済的DVで「(夫から)生活費をもらえず、住むところや仕事があっても生活が苦しい、経済的自由がない」という相談もあった。

 

 また、障がいを抱えている相談者も多く、何らかの障がいを抱えていることで「仕事が見つからない」という相談や「障がい者雇用のメリットデメリットを知りたい」「障がい者としてどのような就職先が可能か」などという問い合わせも寄せられた。

 

 経済面でも、最近の物価高の影響による深刻なダメージを訴える声も寄せられた。相談者からは「さらに生活が苦しくなった」「生活保護を利用しているが生活が苦しい」「障害者年金が下がり、猛暑の中クーラーを使わずに我慢している」という訴えがあった。

 

 相談を受ける中で、女性が、社会における構造的な差別(年金や賃金、学業の機会の男女格差、性別役割分業による女性への家事労働・ケア労働の押し付けなど)を受けず、自立できていれば、こんなに苦しむことはなかった、と思われる事例が数多く見られた。

 

 再来場者(リピーター)が会場を訪れ、近況をうかがう中で、就職先が見つかったなど自立への1歩を踏み出す報告も出てきている。継続的に、相談者にとっては「顔見知り」のメンバーによって開催されている当相談会が、相談者から「安心して話せる居場所」として認知され、継続利用につながっているのではないかとみられる。さらに、相談者の中には実行委員やボランティアとして関わりはじめるケースもある。

相談事例

・インバウンドを対象とした業界で働いていたが、コロナ禍で失業した。生活保護申請の窓口で「まずは持ち家を売ってはどうか」と言われた。

 

・児童扶養手当を申請しようとしたら、就労証明書の提出を求められた。

 

・精神疾患で退職する際に、「傷病手当と失業手当は同時に受給できない」と雇用主に言われた。

 

・年金と生活保護で生活しているが、物価が高くて生活が苦しい。

 

・夫からの精神的DVにあっている。別居を希望しているが、自分の収入が足りず、自立できない。

 

 

・夫から身体的・精神的暴力を受けている。先月失職した。仕事がないので別居できず離婚もできない。自分の留守中に夫から子どもへの性虐待があるのではないかと心配している。

 

・昨年コロナで仕事のシフトが減らされた。ひとり親として、二人子どもを育てているので、あらゆる支援金を利用したが生活費が足りず貯金を切り崩しているがもう限 界だ。食費が大変なのでマルシェの食料は本当にありがたい。

 

・昨年、コロナ感染の不安からパートタイムの仕事を辞めざるを得なかった。実家には帰ることもできず性産業に従事した。政府の支援などもあるが、親に居場所がわかってしまうと考えていて、制度を調べることもできない。

 

・親一人子一人。親が介護を必要としており困っている。

 

・非正規公務員で低賃金なのに、家計はすべて自分が負担させられている。夫が非協力的。自分が自由に使える金がない。

 

・夫から精神的・身体的暴力を受けている。離婚したいが、離婚後に自分の生活や子どもの親権がどうなるのかを知りたい。

 

・障害者雇用の就労移行で公的機関から冷たくあしらわれている。自分が希望する支援が得られない。

 

・生活保護を利用しているが、物価高で生活が苦しく、1日3食から2食に減らした。仕事を探しているが、生活費が支給される就職支援について知りたい。