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1月相談会のご報告(第4回)

第4回女性による女性のための相談会の報告

女性による女性のための相談会実行委員会

 2021年11月2日、政府が閣議決定した自殺対策白書からは、女性の自殺率が増加したことがわかりました。年末の12月29日には、新宿・歌舞伎町で子ども2人と無理心中を図ろうとした女性が、あやまって息子を転落死させてしまい逮捕される事件がありました。  

 

 新型コロナウイルス感染拡大防止のために事業所が営業自粛や閉鎖に追い込まれる中、女性たちは仕事も生活も追われ、孤立が深刻化しています。

 

 2021年クリスマスから22年正月休みまでの間、都内各所では相談会が実施されましたが、炊き出しや生活相談に並ぶ女性の姿は増加しています。

 

 男性には相談しにくい生活まわりの困りごとや、自分の悩みや不安があっても家族のことを優先させる女性は、自分のことを後回しにせざるを得ません。

 

 労働組合、市民団体、弁護士会など女性有志によって本相談会実行委員会が設立して1年が経とうとしていますが、状況は悪化の一途をたどるばかりです。

 

 「女性による女性のための相談会」では、労働、生活、家庭/家族、心と体の健康、妊娠・出産などの相談と、野菜や果物などの食糧や生理用品などの生活必需品の配布しています。相談会に足を運ぶ女性の多くは、こうした一時的な支援と合わせて継続的に悩みを相談できる相手や居場所を必要としています。

 

 本会は、2021年3月、7月、12月と相談会を実施して、相談に来た女性たちへの伴走支援をしています。

概要

日時 2022年1月8日(土)11:00~17:00(最終受付16:30)

   1月9日(日)10:00~16:30(最終受付16:00)

場所 新宿区立大久保公園特設テント(新宿区歌舞伎町)

主催 女性による女性のための相談会実行委員会

後援 東京都/第二東京弁護士会/日本労働弁護団/日本労働弁護団女性労働プロジェクトチーム

相談件数など

相談件数 1月8日113件、9日97件 計210件

キッズルーム利用 1月8日5件、9日7件 計12件

実行委員会スタッフと当日ボランティア 1月8日109人、9日99人 計208人

傾向

 コロナ長期化でこれまでの生活が破綻してきている。何らかの疾患を抱えている相談者が多く、医療相談が多い。以前は医療機関で治療を受けていたが、失職するなどして治療費がなかったり、失職によって保険証の継続ができなかったりして、困っている事例が目立った。中には医療機関にかかれないため、以前に処方してもらっていた薬と同効果の市販薬を買いたいとの相談もあった。

 

 女性が潜在的に抱えている「生きづらさ」に起因する相談が多い。ドメスティックバイオレンス(D V)や失業など、一人の女性が複数の問題を抱えている事例が目立つ。コロナによって相談会が開かれ、安心できる場所で女性たちが語り出し、表面化していると見られる。

 

過去から続いてきた女性が抱えている困難が語られる場がなかった、聞いてくれる人もなかった。女性は夫や父親など周囲の男性に囲まれ、自分の抱えている問題を問題として見ずに、他人の問題解決が優先されてきたから。この相談会ではその必要性がないから境遇や思いを自由に話すことができる。受け止める姿勢と環境、雰囲気。人が、困難を抱える女性の自立とその支援には大事なことだ。

 

相談者同士がカフェなどで交流する姿も見られた。女性があるが故に同様の困難を経験共有できるので、共感できて励まし合うことができる。

 

・お金がないために医者に行けないからか、健康相談が多い。

 

・全般的に生活保護を嫌う人が目立っていたのに、今回は積極的に申請したいという人が増えた。生活資金に困っているからではないか。

 

・子育て相談が多い。子どもを連れてくる女性が増えた。コロナで家にいる時間が多くなり、子育てに向き合わざるを得ないからではないか。子どもの発達障害についての相談や教育問題についての相談が目立った。

 

・全般的に女性だけなので、安心したという声はやはり多かった。

 

・相談にならない相談が多い。ただ話を聞いて欲しくて来場する女性が多い。

相談事例

・20代 コロナで父が単身赴任先から帰宅。父からのモラハラを受けており、家を出たい。賃金が安くて自活できないため、ひとり暮らしがかなわない。家を出て生活する方法を知りたい。

 

・50代 父の暴力にあってPTSDで悩んできた。働いていたが仕事がなくなり、1年の路上生活をしていた。今は生活保護を受けているが、仕事に復帰できない。家族と不仲で連絡が取れない状態で孤立している。

 

・30代 パート勤務をしていたが過重労働で精神不安定になっている。(「病気になったら休んでいい」と相談員に言われて顔が明るくなった。)パート労働者でも社会保険加入していれば、傷病手当金を受けとれるとは知らなかった。傷病手当を受け取りながら休めるのは正社員だけの権利だと思っていた。

 

・40代 子供あり。生活保護受給中。仕事をしたくてハローワークで登録しているが、仕事が見つからない。面接までは行くが落とされている。どのように自己PRしてよいかどうか分からない。子供から自分の仕事が何をしているのかを聞かれても答えられず、苦しい気持ちになる。

 

・30代 生活保護申請をして宿泊所を紹介されたが、そこは男性ばかりが暮らしており、プライバシー面で安全性がなく怖い。親と不仲。過去に路上生活の経験がある。安全な暮らしを求めている。

 

・60代 ネットカフェ生活を1年以上している。金銭トラブルがあり、安定した暮らしを失った。前日(1月8日)に相談したことで安心できた。身だしなみを気にする余裕が生まれた。髪を切って化粧したいと思えるようになった。

 

・30代 アルバイト先が昨年つぶれた。かけ持ちパートで働いているが、帰宅時間が客次第で日による。生活が不規則になっているため、子どもに影響が心配。一時期、夫の暴力もあった。

 

・50代 昨秋から清掃の仕事がなく、失業保険もない。離婚したので、知人宅に仮住まいをしている。生活全般に不安を抱えている。仕事をもらえるよう、頼んでいるが、当分はなさそう。

 

・60代 夫が失踪し離婚をしたいが、できない状態。離婚の手続きがわからないので教えて欲しい。

 

・30代 高校を中退して、アルバイトを転々としてうちに、うつになった。病気のせいで仕事を続けられなくなった。障害者年金を継続できないと生活が立ち行かなくなる不安を持っている。

 

・20代 子どもあり。大学院の研究がコロナで研究できず、卒業できないまま。

 

・40代 夫の大声や暴言がひどく、離婚に向けて準備をしたいがどうしたらいいのか。

 

・30代 フリーランスだが、コロナで仕事が減って、住宅確保給付金を受けた。他に受けられる支援がないか相談に来た。食料が不足しており、もらいに来た。

 

・50代 仕事をしていたが、コロナで景気が悪く休んで欲しいと言われた。食料が欲しい。夫からの暴力から逃げて別居している。

 

・40代 12月の相談会に来た。短期契約のため、雇用が切られた。ハローワークに相談しても大丈夫かを確認したい。